私がカテーテルを使用して検査、治療を始めたのは97年ですが、頭の病変を治療するカテーテルと言ってもたくさんあるわけではありませんでした。細いカテーテルを使って塞栓物質を流したり、動脈瘤を治療するということが限られた施設で行われているのみという状態でした。
ちょうど私が心より尊敬する森 惟明教授が主宰する高知医大脳神経外科教室にて先覚的に特殊治療が行われていました。当時心臓の領域にて、脚光を浴びていた狭窄している心血管を風船付きカテーテルを用いて広げる治療(PTCA)が施行されていたのですが、この治療法はカテーテルを改良すれば、脳血管にも適用できるのではないか、そして脳梗塞を予防することが可能になるのではないか。そのような考えから、当時高知医大 助手 森 貴久先生(現 湘南鎌倉総合病院 脳卒中診療科)を中心として脳血管内治療として頭蓋内血管の拡張術(PTCBA)を積極的に施行していました。その有効性については米国神経放射線学会誌、欧州神経放射線学会誌に発表されています。