「首や腰が痛くて日常動作に困る」「手がしびれて物がつかみにくくなってきた」「長い距離を歩くと休みたくなる」「手が痛い」といった症状に困っている方はおられませんか?
これらの症状は背骨(脊椎脊髄)に原因がある場合が非常に高いのです。
一般に、脊椎の中を通っている脊髄神経は脳からの指令を手先足先へ伝える本幹です。脊椎脊髄疾患は治療のタイミングを誤ると治療後も元に戻らない症状も出てくるため、適切な治療方法を選択し、実施していくこと脊椎外来の役目です。
脊椎外来では脊椎専門医が診察を行い、薬物療法、ブロック注射、リハビリテーションなどを行うことにより症状の改善をはかります。それらの治療で効果が得られない場合は外科手術をおすすめし、手術は専門医師が責任を持って担当し、術後も外来で慎重に経過をみます。
前述のような症状にお困りの方は一度当院の受診をお勧めします。
長久功副院長(脊椎脊髄外科専門医、脊髄外科学会認定医)
■診察を受けるには
毎週火、金曜の午後の外来(15時30分〜18時)は脊椎専門医が診察を行っていますので受診していただけます。紹介状をお持ちでなくても受診可能です。
■どのような治療を行っているか
当科で行っている代表的疾患と外科的手術をご紹介します。
加齢によって生じる頚椎の変形(椎間板ヘルニア、骨棘、靭帯骨化症)に、頚椎の不安定性や外傷が加わることで脊髄神経が圧迫され発症します。主な症状は首の痛みや手指のしびれや痛み、細かな動きの低下で始まることが多く、進行すると足がしびれる、歩きにくい、尿が出にくいなども伴うようになります。治療はまず安静、薬物療法、リハビリテーションを行い、改善しない場合は手術を行います。手術は主に2つあり、首の前方から圧迫要因を除去する方法と首の後方から侵入して骨を広げて脊髄の圧迫を取り除く方法があります。どちらを行うかは各状況に応じて最適な方法を選択します。
「腰部脊柱管狭窄症」、「腰椎椎間板ヘルニア」
加齢によって生じる腰椎の変形(椎間板の膨隆、骨棘、靭帯の肥厚、すべり症、分離症、側彎症)によって脊柱管が狭小化し、その中を通っている神経が圧迫されることで発症します。主な症状は長い距離が連続して歩けない、お尻から足先までしびれる、痛みがあるなどであり、進行するとスリッパが脱げる、尿が出にくいなども伴うようになります。治療はまず安静、薬物療法、ブロック注射、リハビリテーションを行い、改善しない場合は手術を行います。当院では脳の手術で導入されている顕微鏡を用いて行い、3cm程度の切開で圧迫を取り除く手術です。腰椎に不安定性がある場合は固定術を行うこともあります。
「脊椎圧迫骨折」
加齢によって骨粗鬆症が増え、それにより脆弱な背骨が骨折することで発症します。主な症状は軽微な動きで起こる突然の激しい疼痛であり、寝返りができない、腰が曲がるなどで発見されることもあります。安静やコルセットでの治療で症状が改善しない場合は手術(椎体形成術、固定術)にて症状の改善や背骨の整復をはかります。椎体形成術は低侵襲治療として注目されており、1cm程度の切開のみで行える1時間以内で手術可能な方法です。