年々増加する認知症について、当院では精神科、神経内科、脳神経外科が合同で治療にあたっています。当院では、画像診断法として、MRI-VSRAD(海馬萎縮の解析)による補助診断、脳血流評価を行っています。しかし、早期診断において画像診断は有効でないことが多く、これはあくまで鑑別診断などに用いています。それよりも臨床症状や経過が優先されます。専門医による総合的な判断が必要になります。
来院時には、診察の前にスタッフによる簡易式テストを事前に施行させていただきます。
我々の役割として、認知症の鑑別診断を行い、薬物療法を含めた急性精神疾患、行動・心理症状への対応、重篤な合併症に対する治療を行っています。
そして今後の介護、ケアを充実させるため、地域包括支援センターと協力し、認知症サポート医(副院長)を含めたチーム医療を行っています。
■治る認知症
・慢性硬膜下血腫
・正常圧水頭症
・甲状腺機能低下症
・ビタミン欠乏症
上記に示す疾患は認知機能の低下を示すことがあります。(全体の認知症の5-10 %)
アルツハイマー型認知症は、記憶障害が主に現れてきます。最近では症状の進行速度の軽減を目指す抗コリンエステラーゼ阻害薬(アリセプト)が次々認可され、現在臨床の現場で使用されています。 |
レビー小体型認知症は、認知機能障害から始まり、パーキンソニズムが加わったものを言います。見当識障害を伴うものもあります。その他、覚醒レベルの変動、幻視、自律神経症状が代表的な症状です。脳血流画像(頭頂側頭連合野、後頭葉内側の血流低下)、心筋シンチグラム(MIBG)などが補助診断に有効とされています。このタイプは、特に内服で著効する例が多く、当院でも脳血流を含めた診断と積極的な治療を行っています。 |
前頭側頭型認知症は、1994年にLund大学とManchester大学のグループが共同で提唱したもので、高度の性格変化、社会性の喪失、意味性失語、注意、判断能力の低下が認められる一方、見当識は比較的保たれることが多いです。この中には介護の方も対応困難になっていく症例があります。 |
異常が見られる場合は、受診をおすすめします。
当然ですが、抗コリンエステラーゼ薬などによる内服治療だけでは、認知症は改善しません。内服により神経のつながりを良くしながら、実際に前頭葉を活動させなければいけません。これには、実際の生活環境の改善が必要になります。
デイケアなど介護サービスを利用されることが望ましいです。
認知症ケアの基本は生活の継続性を尊重し、本人のペースを守ってあげることになります。これに即した自宅復帰またはケアホームが必要と考えています。
当院では認知症の方が必要なケアを受けることができるように医師による主治医意見書を書いております。気軽にご相談ください。