最近は近くの施設でCT、MRIが簡単に行えるようになってきました。検査の結果、偶然に未破裂の脳動脈瘤が発見されることが増えてきました。統計上脳ドック等にて約4%において動脈瘤が発見されます。(下写真)
過去の文献等から年間1−2%といわれていましたが、1998年、有名な医学雑誌(New England Journal of Medicine)にて欧米における未破裂の脳動脈瘤を追跡調査が発表されました。当論文によると、年間破裂率は10mm以下で過去にくも膜下出血の既往がない人は、0.05%から0.1%であるという結果が発表されました。またこの調査では10mm以上の大きい脳動脈瘤はこれよりもうすこし確率が高いことがわかりました。(ISUIA 1998)しかし当時この研究方法、結果に対して多くの脳神経外科が異論を唱えたことにより次に前向き評価が再度施行されました。そして7mm-12mmの群では前方にある動脈瘤では0.5%/年、後方では2.9%/年と破裂率が高いこと、また大きさ、部位により破裂のしやすさが異なることが発表されました。(ISUIA 2002)
脳動脈瘤の破裂率については各人種など地域により違うことが示唆される論文もあります。上記の論文は欧米人のデータです。日本人においてどうなのかまとめた論文が2005年に有名脳外科雑誌に発表されました(UCAs 2005)。これによると動脈瘤年間破裂率は2.7%です。今までの欧米のデータとかなりの相違があります。s
これだけの相違が生じるということは動脈瘤の大きさだけを判断材料とするのではなく、もう少し違った見方も必要だろうということを示唆しています。
従って予防的な治療を受けられるかどうかは主治医より得た個々の情報を参考にして決めていただきたいと思います。
もしみなさんの頭の中に脳動脈瘤があると言われたら、
どういう治療を希望されますか?
>> 治療法を見てみましょう。